本館新築・既存病棟改修

建物の概略

外観 外観

1.コンパクト・高効率に病院機能を集約するヴォリュームと利用者にやさしい建ち方

高層部・低層部

地域の医療を守る総合病院として、訪れる患者の皆様に対して安心感を与える南側の重厚なヴォリューム感と、海岸景観に対しての北側の軽やかさを両立すべく、正方形平面の低層部とL型雁行平面の高層部を組み合わせた形態としている。

高層部の病室群とエントランスホールは海へ開かれた配置とし、七尾の人々の生活と密接な関わりを持つ穏やかな七尾湾への眺望を最大限確保するよう努めた。

ファサードは穏やかな海の水平面と呼応するコンクリート打ち放しのボーダーと、それに分節される温かみのある素材感を纏ったレンガ調タイル、リズムを与えるスリット窓/人の気配や内部の機能を表出するピクチュア窓によって構成した。

南側エントランス 北側湾からの外観

2.先端機能を集約した新病棟と3敷地3棟の既存建物の再編

平面図

2本の公道によって分け隔てられた3つの敷地に建つ建物を、上空連絡通路によって接続した。
新病棟:急性期、3病棟:亜急性期、5病棟:回復期 と病棟の役割を3つに分け、患者・スタッフの移動の安心安全を最優先に考えシームレスな医療サービスを実現すべく計画した。

各建物の外観 上空連絡通路

公道上空の24.8m、23.4mのロングスパンを、フィーレンデールトラス構造で架け渡すことにより、道から背後の山々の稜線を望むことができる透明性を獲得した。(背後の山は城山、七つの尾根を持つことから七尾という地名の由来とされている)

3.将来の機能拡張・改編に配慮した建築構造計画

病院建築は医療技術の革新に伴い将来的な機能改修が繰り返されている。そこで階高はそのまま、設備増強の際にも天井内配管が十分に確保されフレキシビリティの高い計画を『SFMS』によって実現。 建物が設備に追い付かなくなり、建替えを行う事例が多くみられる時代において、フレキシビリティの高い建物は長寿命化が可能であり将来に亘って環境負荷低減に貢献する。

SFMS SFMS
外殻フレーム構造 3次元検討
直線的ダクト 梁縦貫通スリープ
すっきりとした躯体

4.臨海立地のアメニティを享受しつつ 災害に強い病院

本計画は基本設計完了後、東日本大震災が発生、地域医療を支える中核施設としての事業継続計画(BCP)のあり方を見直すこととなった。
臨海立地であることが、眺望や五感に訴える癒しとして有用である一方で、海の脅威、地盤の安全性など、想定されていなかった問題を孕んでいたことが思い知らされた。
詳細設計時に様々な検討を行い解決する方策を検討した。

地震に強い=揺れ・液状化・津波に対しても安全を支える構造計画
地震に強い
格子状地盤改良(TOFT)

災害時の揺れによる医療機器の破損、家具の転倒による患者の負傷等を低減するため、免震構造を採用。
また、能登半島地震でも発生していた液状化には、対策として有効な格子状地盤改良(TOFT)を採用。

津波対策
津波対策
七尾市ハザードマップ

水害・津波対策においては、七尾市地域防災計画の想定浸水標高2.9mに対して、1階床レベルを3.5mにかさ上げをし(免震層かさ上げ)、建物内部へ津波が浸水しないようにした。また、擁壁の強度についてもガイドラインを基に検討を行った。
また非常用発電・受変電設備・熱源設備は屋上階に設置、メインサーバー室を上階に設置、2回線受電方式を採用した。

災害時の拠点として地域を守る
屋上ヘリポート 避難デッキ

屋上は、海上保安庁ヘリ、県の防災ヘリを受け入れ可能な仕様として設計、海難事故・災害、他地域からの患者の転送等も想定。
中間階屋上は水害・津波時は周辺の海抜の低い地域住民の避難施設として想定。1階シーサイドホールもトリアージスペースとして使用できる設備を設け、救護拠点としての役割を果たす。

5.病院の理念 "地域とともに"精神の具現化

外観
伝統×レンガ調タイル

長年この地で親しまれてきた既存建物のレンガ調タイルを踏襲しながら、せっ器質タイルのスクラッチ跡や赤黒く窯変したものを織り交ぜ温かみのある素材感を表現。

レンガ調タイル 温かみのある素材感

待合室サイン
おもてなしの心×サイン

サインに波状のテクスチャーをもつファブリックのクロス等を用い、その凹凸感を活かしウォールウォッシャー照明による演出.誘導する目的のサインに、柔らかさの表情を与えた。

波状のテクスチャー 波状のテクスチャー

シーサイドホール
地産地消×アートワーク

地域の伝統工芸である木組み格子を用いたライトボックスをアクセントに、波をイメージしたテクスチャーの七尾産珪藻土塗壁をくつろぎの場となるシーサイドホールに展開
 

七尾産珪藻土塗壁 木組み格子

能登杉材を使用したルーバー
地産地消×環境制御

能登杉材を使用したルーバーによって海への眺望を遮らない程度に西日の日射遮蔽を行っている。太陽光シミュレーションによって夏場の16時頃のまぶしさを低減(熱はLow-Eガラスにより低減)

廊下の突き当りに配した開口部 廊下の突き当りに配した開口部
眺望×ウェイ・ファインディング

訪れる人がルートに迷いがちな病院建築の閉じられた中廊下において、廊下の突き当りに配した開口部により海側・街側のオリエンテーションを感じることができる

『安心』を与える、迎える表情
南側エントランス

南側エントランス:安心感を与える重厚なヴォリューム感

人の気配のあかりが漏れだす

開口部光のリズムと、上階の人の気配のあかりが漏れだす夜景

海の爽やかな景観と呼応する軽快さの表現
北側外観

北側外観:海岸景観に対しての軽やかさの表現

水面にも賑やかさが投影

地域に開いた催しの際には、水面にも賑やかさが投影される

迎え入れ、守るしつらえ
エントランス近景

エントランス近景:
臨海地の厳しい風から守る動線配置と雨雪から守る大庇

安心して迎えるあかり

時間外に訪れる利用者を安心して迎えるあかり

「病院らしくない」落ち着いた病院の顔
けいじゅギャラリー

迎え入れる けいじゅギャラリー。病院の80年史を展示。バスの待合ともなる

エントランス受付

エントランス受付:着座で応対するスタイル。ホテルのような落ち着きある病院の顔

海を眺め くつろぐ癒しの場
シーサイドホール

シーサイドホール:診察後などにくつろぐことができるスペース。併設されたカフェのコーヒーを飲みながら、海を眺められる

吹抜を飾るバナーサイン

吹抜を飾るバナーサイン。季節やイベントの告知が「病院らしくない」演出

わかりやすく 清潔感のある爽やかな待合
2階外来待合

2階外来待合:サインのカラーを際立たせるモノトーンの抑揚のあるインテリア

2階外来待合

2階外来待合:奥行のある空間に床天井のパターンによるアクセント。サインを照らす間接光が空間に軽やかさを与える

改修して永く美しく つかう
3病棟・健康管理センター受付

3病棟・健康管理センター受付:階高の低い既存建物において天井高を切り替えながら極力開放的な空間を確保. 間接照明が軽やかさを与える

鮮やかな扉の色分け

健康診断の順路動線を鮮やかな扉の色分けで表現

病院全体の大動脈 上空連絡通路
エリエール・ロード

エリエール・ロード:大王製紙のネーミングライツによる

キャロット・ロード

キャロット・ロード:のと共栄信用金庫のネーミングライツによる. 長い経路空間を広告媒体として利用する. 細い間柱のトラスによって、眺望を確保

落ち着きと機能を両立した空間
特別1床室

特別1床室:ゆったりとした空間で海を眺めながら療養できる

4床室

4床室:落ち着きあるインテリアと、看護動線・医療行為の効率化を両立した

海とともに
病棟デイコーナー

病棟デイコーナー:海を眺めながら談話できるスペース

屋上場外離着陸場ヘリポート

屋上場外離着陸場ヘリポート:空路を確保することにより、能登半島全域の医療をカバーできる体制の強化

  • 本館新築・既存病棟改修
  • 恵寿金沢病院開院(2014年7月1日より)
  • 透析クリニック(移転新築)
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